10
31
山の上で、一人旅について
2008-10-31
昨日は体に感じていた揺れが、頭に直接響いてくる。しばらくは何も考えられないくらいの頭痛が続いたけど、太陽が昇って体もあったまってくると徐々に収まってくる。でもトラックの揺れは相変わらずひどい。
移動中は特に何もすることがなかった。
揺れがひどくて、本も読めないし、日記も書けない。
言葉も通じないので、何も変わらない景色を眺めて持ってきたCDを聴く。
川らしい景色をパチリ
そうそう、トラックに乗っていたのは僕の他に、
運ちゃん (若くてノリノリ。)
ぼーし (ウイグル系の人だと思う。ウイグル帽をかぶってたから。)
さる (背が小さくて見た目は猿っぽい。ピータンをよく食べてた。)
この3人がいた。
後部座席で一緒に座っていたぼーしは、CDウォークマンに興味を持って他にも何か持ってないのかと言ってくる。カメラを見せたりしてぼーしと遊んでいると、運ちゃんが「俺にも見せろ。」と言わんばかりにハンドルを離して、後部座席に身を乗り出してくる。
トラックの進行方向が微妙にずれる。頼むからヤメテクレ。心中はごめんだ。
しょうがないんで運ちゃんにCDウォークマンを貸すと、何を聞いていたのか分からないけどノリノリで、クラクションでリズムをとって何か口ずさんでいる。
何も無い山道で、メチャクチャなリズムのクラクションが鳴り響く。
その瞬間、あぁ遠くまできたんだなぁ、と感じた。
ラサまでは何度か検問があった。ちゃんと高速の料金所みたいなゲートがあるところもあれば、公安が張り込んでるだけのところもあった。
公安がいるだけのところでは、後部座席の奥の奥の荷物置場みたいなところに隠れて、無造作に毛布を被せられた。トラックが止まって運ちゃんが公安と話している時間、「自分は毛布だ。」と言い聞かせる。
ゲートがあるようなところでは車内も調べられるらしく、トラックを降りて何食わぬ顔をして運ちゃんたちの仲間であるように、しれーっと公安の前を通っていった。
よく見れば日本人だとバレそうなもんだけど何も言われずに済んだ。
密入国はこんな感じなのだろうか。
高山病で頭が超痛い・・
一度は収まったかと思った高山病が悪化していく。
つらい顔をした僕を見て、運ちゃんは薬(?)を差し出してくる。
弁当に入ってる金魚の醤油入れみたいなのに、よく分からない黒い液体が入っている。
「飲むと楽になるから。」とゼスチャーで伝えてくる。
もうこれ以上悪化するのは勘弁なので、えぇぃ、とその薬を飲んでみる。
イソジンみたいな味がする。イソジンなのか?
楽になった気はしないけど、ちょっとは気が紛れた。
途中、何度かトラックの故障で止まったりしていたのだけど、山の頂上あたりで夜中に故障して全く動けなくなったときもあった。辺りは真っ暗で、周りには何も無くて、運ちゃんたちは助けを求めになのかどっかへ行ったまんま帰ってこない。
トイレに行きたくてしょうがないけど、トラックの外には犬が集まってきてしきりに吠えている。
そんな状況にも慣れてきて、ひたすらCDを聴いていた。寝ると高山病が悪化するし。
もうトイレも限界だ、と思ったときに運ちゃんが戻ってきた。
戻ってくるなり、「修理に必要だから。」とヒッチハイク代の300元を先払いしてくれと言われる。
何度か断ったけど、本当に修理代が無さそうなのと僕も早くこの状態から抜け出したい。
数日間だけど一緒にいて、ボッたくる類の人たちじゃなさそうだと思ったので全額先払いした。
海抜5231m 空に近い
イソジンみたいな薬はもう何度も飲んで、残りは無くなってしまった。
寝るたびに高山病は悪化していき、寝起きのたびの吐いて、耐えきれずに走っているトラックの窓から吐いたこともあった。食欲も次第に無くなっていたので胃液しか出なかった。それでも吐けば少し楽になるのだけど、最後の方には吐こうにも何も出てこなくて、楽にもならずついに限界かと思われるところまでくる。
極限に近い状態で、何でこんなところに来てるんだろう、日本に帰ってあったかいベッドで寝たいな、なんて思った。
初めての世界に来たとき、周りをキョロキョロと見回して、新しいものを見つけて覚えていく。
それは誰だって同じだと思う。
明らかに日常に比べて時間の濃度は高い。
ほんの数日、数週間の旅でも、一日一日が全く新しい一日で、ときめいて、世界は確かに広がっていく。
赤ん坊があっと言う間に成長するように。
一人旅が好きな人は、この感覚が好きなのではないだろうか。
今ではもうあんまり言われなくなったけど、前は「なんで一人で行くの?」とよく言われた。
「アジア!? 安宿!? 予約とかしてかないの?」
「グアムとか、リゾートでホテルに泊まって海で遊んだ方がいいじゃん。」
もちろんリゾートも嫌いじゃない。というか大好きだ。
お金に余裕があれば、ゴージャスにやってみたい。
ということを考えるようになったのも、働きだしてからだけど。
意味もなく危険なことや、無鉄砲なことがやりたいわけじゃないけど、そういう気持ちもある。
なんというか、説明するのが難しい。
あー、うまく言えない。
とにかく、初めて見る景色、人たち、食べ物、街並み・・
そう、初めての経験をしているときが幸せなのだ。
例えばそれは、地平線に沈む夕日だったり
例えばそれは、どこか懐かしい味のする外国の料理だったり
例えばそれは、名前は忘れかけてるけど忘れられない人たち
だったりする。
初めての海外ヒッチハイク。
初めての6000mクラスの山の上でのトラック野宿。
初めての極限状態で自分が考えたこと。
その経験が、この旅が今でも忘れられない理由かもしれない。
でも、もう一度このヒッチをやるかと言われればお断りするけどね。
揺れがひどくて、本も読めないし、日記も書けない。
言葉も通じないので、何も変わらない景色を眺めて持ってきたCDを聴く。
川らしい景色をパチリそうそう、トラックに乗っていたのは僕の他に、
運ちゃん (若くてノリノリ。)
ぼーし (ウイグル系の人だと思う。ウイグル帽をかぶってたから。)
さる (背が小さくて見た目は猿っぽい。ピータンをよく食べてた。)
この3人がいた。
後部座席で一緒に座っていたぼーしは、CDウォークマンに興味を持って他にも何か持ってないのかと言ってくる。カメラを見せたりしてぼーしと遊んでいると、運ちゃんが「俺にも見せろ。」と言わんばかりにハンドルを離して、後部座席に身を乗り出してくる。
トラックの進行方向が微妙にずれる。頼むからヤメテクレ。心中はごめんだ。
しょうがないんで運ちゃんにCDウォークマンを貸すと、何を聞いていたのか分からないけどノリノリで、クラクションでリズムをとって何か口ずさんでいる。
何も無い山道で、メチャクチャなリズムのクラクションが鳴り響く。
その瞬間、あぁ遠くまできたんだなぁ、と感じた。
ラサまでは何度か検問があった。ちゃんと高速の料金所みたいなゲートがあるところもあれば、公安が張り込んでるだけのところもあった。
公安がいるだけのところでは、後部座席の奥の奥の荷物置場みたいなところに隠れて、無造作に毛布を被せられた。トラックが止まって運ちゃんが公安と話している時間、「自分は毛布だ。」と言い聞かせる。
ゲートがあるようなところでは車内も調べられるらしく、トラックを降りて何食わぬ顔をして運ちゃんたちの仲間であるように、しれーっと公安の前を通っていった。
よく見れば日本人だとバレそうなもんだけど何も言われずに済んだ。
密入国はこんな感じなのだろうか。
高山病で頭が超痛い・・一度は収まったかと思った高山病が悪化していく。
つらい顔をした僕を見て、運ちゃんは薬(?)を差し出してくる。
弁当に入ってる金魚の醤油入れみたいなのに、よく分からない黒い液体が入っている。
「飲むと楽になるから。」とゼスチャーで伝えてくる。
もうこれ以上悪化するのは勘弁なので、えぇぃ、とその薬を飲んでみる。
イソジンみたいな味がする。イソジンなのか?
楽になった気はしないけど、ちょっとは気が紛れた。
途中、何度かトラックの故障で止まったりしていたのだけど、山の頂上あたりで夜中に故障して全く動けなくなったときもあった。辺りは真っ暗で、周りには何も無くて、運ちゃんたちは助けを求めになのかどっかへ行ったまんま帰ってこない。
トイレに行きたくてしょうがないけど、トラックの外には犬が集まってきてしきりに吠えている。
そんな状況にも慣れてきて、ひたすらCDを聴いていた。寝ると高山病が悪化するし。
もうトイレも限界だ、と思ったときに運ちゃんが戻ってきた。
戻ってくるなり、「修理に必要だから。」とヒッチハイク代の300元を先払いしてくれと言われる。
何度か断ったけど、本当に修理代が無さそうなのと僕も早くこの状態から抜け出したい。
数日間だけど一緒にいて、ボッたくる類の人たちじゃなさそうだと思ったので全額先払いした。
海抜5231m 空に近いイソジンみたいな薬はもう何度も飲んで、残りは無くなってしまった。
寝るたびに高山病は悪化していき、寝起きのたびの吐いて、耐えきれずに走っているトラックの窓から吐いたこともあった。食欲も次第に無くなっていたので胃液しか出なかった。それでも吐けば少し楽になるのだけど、最後の方には吐こうにも何も出てこなくて、楽にもならずついに限界かと思われるところまでくる。
極限に近い状態で、何でこんなところに来てるんだろう、日本に帰ってあったかいベッドで寝たいな、なんて思った。
初めての世界に来たとき、周りをキョロキョロと見回して、新しいものを見つけて覚えていく。
それは誰だって同じだと思う。
明らかに日常に比べて時間の濃度は高い。
ほんの数日、数週間の旅でも、一日一日が全く新しい一日で、ときめいて、世界は確かに広がっていく。
赤ん坊があっと言う間に成長するように。
一人旅が好きな人は、この感覚が好きなのではないだろうか。
今ではもうあんまり言われなくなったけど、前は「なんで一人で行くの?」とよく言われた。
「アジア!? 安宿!? 予約とかしてかないの?」
「グアムとか、リゾートでホテルに泊まって海で遊んだ方がいいじゃん。」
もちろんリゾートも嫌いじゃない。というか大好きだ。
お金に余裕があれば、ゴージャスにやってみたい。
ということを考えるようになったのも、働きだしてからだけど。
意味もなく危険なことや、無鉄砲なことがやりたいわけじゃないけど、そういう気持ちもある。
なんというか、説明するのが難しい。
あー、うまく言えない。
とにかく、初めて見る景色、人たち、食べ物、街並み・・
そう、初めての経験をしているときが幸せなのだ。
例えばそれは、地平線に沈む夕日だったり
例えばそれは、どこか懐かしい味のする外国の料理だったり
例えばそれは、名前は忘れかけてるけど忘れられない人たち
だったりする。
初めての海外ヒッチハイク。
初めての6000mクラスの山の上でのトラック野宿。
初めての極限状態で自分が考えたこと。
その経験が、この旅が今でも忘れられない理由かもしれない。
でも、もう一度このヒッチをやるかと言われればお断りするけどね。



