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クアラルンプールの詐欺師
2008-08-09
2000年 春。クアラルンプールはチケットなんかには「KL」と書かれ、バスターミナルではよく「ケール」って言われているのを聞きます。KLでは危機一髪な出来事がありました。
マレーシアという国自体は、僕が今まで訪れた国の中ではどちらかというと印象が薄い部類に入る。というのは、世界遺産を見たわけではないし、過酷な移動をしたわけでもない。
刺激を求めて訪れた旅行者にとってはのっぺりとした印象が拭えないのだけど、それだけでは終わらない出来事がここであった。
マラッカからのバスで軽い感傷に浸ったのも束の間、連日の飲みに高テンションでまばたき数回でKLに着く。着いたときの第一印象は、暑い! 風がないし、東京の夏をひどくした感じだ。
たまらず近くに見つけたケンタッキーに避難する。
海外に来て1週間ちょいの間にコーラをたくさん飲んだ。多分僕の人生での1週間のコーラ量は記録更新しただろう。
店の中で、マラッカの宿に泊まっていた欧米人を見つけた。声をかけようと思ったがすぐに出ていってしまった。少し元気が出て、宿探しに出ることにする。
都会で人が多くて、建物が多くて、地図を見てもどこにいるのか分からない。
見通しのいい交差点でキョロキョロしていると、1人の男が声をかけてきた。
”○×○△×▽・・?”
僕がマレー人だと思って、マレー語で話しかけたなんて言う。そんな訳ないだろ、って思ったこの時点で怪しいことに気がつくべきだった・・
道を教えてくれるならと思って軽く話をすると、おごってやるからと男は笑いながら喫茶店に入る。道を聞いたのに一気に話題を変える。そこにもう一人の男が参上。兄弟というが、全然っ似ていない。
「俺たちはフィリピンでホテルの経営をしているんだ。」(弟)
「ブラザー、今年はホテルに遊びに行かないのか?」(兄)
「今年は無理かな。他の仕事で忙しいんだ。」(弟)
「そうだ、ヒロシ。お前遊びに来いよ。安くしてやるぜ。」(兄)
なんて話が続き、名刺を渡される。
日本で買っていったサングラス(800円 壊れかけ)を気に入ったらしく、うるさいのであげることにした。話せば何かとフレンド、ノープロブレムの連発である。
「今日は大阪で日本語の勉強をしてる妹が帰って来てるんだ。ちょっと呼んでやるから。」
と、目の前で電話をかけ始める。ものの数分で妹が登場。段取りが良すぎません?
何でも今日は母親の誕生日で家族が集合する日らしい。(ウソでしょ)
「そうだ、よかったらヒロシも家でパーティーに出てくれないか?
サングラスのお礼もしたいんだ。」(弟)
サングラスはしつこいからあげただけだって。早めに宿を見つけたいからと言ってバイバイする。
すると、後で知ってる安宿まで案内すると言ってきて、そうこうしているうちに男の一人がタクシーを止めている。それを横目に見ながら、めんどくさくなってきて「お金ないから、時間ないから。」 と言って逃れようとするが、好奇心が少しだけ勝ってしまった。
タクシーを止めた男(兄)はどっかへ行ってしまい、弟、妹、僕の3人で乗る。
見事なチームワークで、僕もそれに見事に乗ってしまった。
よく見れば車にはtaxiの表示もメーターも無く、タクシーではなかったのだと思う。
車は高速道路に入り、20分ほど走る。
車の中でガールフレンドはいるのか? と言われ、そりゃ何人かいるよと答えると、
「おいおいお前どういうことだ。」 と弟が興奮して突っ込んでくる。
僕はこの頃、ガールフレンド=女友達、だと思っていたのだ。
車は住宅街に入り、でっかい家の前で止まる。中に入ると数人の家族(?)が出迎える。
「何か食べるか? 飲むか?」
「いや、もうご飯食べたから大丈夫だよ。」
「喉乾いたろ。水でいいか?」
暑かったのと、緊張していたのとで一気に飲み干す。
あ、これって何か入ってたりしない? 眠くなったりしない?
このあたりから全てを疑ってかかるようになる。
「日本円を見せてくれないか。」
「クレジットカードは持っているのか。」
日本円はちょうど財布に入れてなかったのと、カードはパスポートと一緒にしてポーチみたいなので体に巻いていたから見せずに済んだ。
「これしかないって。」
と財布を見せると今度は学生証だったり、財布の中身を色々と物色してくる。
今度は男が財布を見せてくる。中には100ドル札がびっしり。
部屋には高そうな家具に、sonyのコンポ、テレビが並んでいる。
日本のこと、マレーシアのこと、話のネタも尽きてきたころに、気がつくと目の前でトランプを配りだしている。僕の周りでポーカーが始まる。7,8人でチップをやり取りして盛り上がってくる。
数分経って、お前もやってみるか? と勝手にゲームの説明をしてきた。
・・今自分が置かれている状況って、よくガイドブックの被害状況に書かれてるやつなのか?
これかぁ、と思いつつ、これはもうヤバいと思って、ここから英語が全く分からないアホな人になろうとする。暑さで体調を崩したなんて言って、一気に無口になる。
さて、どう逃れようかと思ったが、どこにいるのかも分からないし、街までは帰してもらわないと困る。すると向こうもそれを察したのか、気の毒に思ったのか弟が切り出す。
「もう戻るかい。」
僕は軽くうなずき、忘れ物がないか注意深く確認し家を出る。
帰りの車の中では、下手したら山の中か、全く知らない場所に降ろされるのかなーなんて思ってた。ほとんどしゃべらず、外の景色を見ていた。
全く同じ場所に降ろされた。
2時間前にはここで道に迷っていたのかと思うと不思議な感覚になる。
被害はなかったし、貴重な体験をしたのかなと思って気分を取り直して宿を探す。
危なかったーと思ったが、あまり実感は湧かなかった。あの時ゲームにのっていたらどうなったのだろう。さすがにそこに踏み込むことはできなかった。てか危ないよね。
その日の夜、宿でこの話をするとよく無事で戻って来れたねと言われた。
あんな露骨な手口に引っかかるんだねと変な感心もされた。
数日前、同じような手口に引っ掛かりスッテンテンになって帰国した日本人がいたそうだ。
その後も、街をふらついていると同じような話で近づいてくる男&女がいて、またかよ〜と思いつつ話すと日本語を勉強している妹だったり、日本の会社で働いてる弟だったりで、内容はほとんど一緒で笑ってしまう。
突っ込んだ質問をして、いきなり話題を変えてきたり苦しそうな顔をするのを見て楽しんでいた。
帰国後、ガイドブックやネットで見たら全く同じ手口で被害に遭った人の情報が載っていた。
特にこの時期、右も左も分からない日本人の学生がたくさん押し寄せて、彼らにとっては獲物に困らないのだろう。
僕は日本人のなかでも頼り無さそうに見える顔なのか、よくこういうのに捕まる。
いつもこんな感じで、いい目にも合えば、危ない目にもよく合っている。
これからKLに一人で行く予定の人は気をつけてくださいね。
刺激を求めて訪れた旅行者にとってはのっぺりとした印象が拭えないのだけど、それだけでは終わらない出来事がここであった。
マラッカからのバスで軽い感傷に浸ったのも束の間、連日の飲みに高テンションでまばたき数回でKLに着く。着いたときの第一印象は、暑い! 風がないし、東京の夏をひどくした感じだ。
たまらず近くに見つけたケンタッキーに避難する。
海外に来て1週間ちょいの間にコーラをたくさん飲んだ。多分僕の人生での1週間のコーラ量は記録更新しただろう。
店の中で、マラッカの宿に泊まっていた欧米人を見つけた。声をかけようと思ったがすぐに出ていってしまった。少し元気が出て、宿探しに出ることにする。
都会で人が多くて、建物が多くて、地図を見てもどこにいるのか分からない。
見通しのいい交差点でキョロキョロしていると、1人の男が声をかけてきた。
”○×○△×▽・・?”
僕がマレー人だと思って、マレー語で話しかけたなんて言う。そんな訳ないだろ、って思ったこの時点で怪しいことに気がつくべきだった・・
道を教えてくれるならと思って軽く話をすると、おごってやるからと男は笑いながら喫茶店に入る。道を聞いたのに一気に話題を変える。そこにもう一人の男が参上。兄弟というが、全然っ似ていない。
「俺たちはフィリピンでホテルの経営をしているんだ。」(弟)
「ブラザー、今年はホテルに遊びに行かないのか?」(兄)
「今年は無理かな。他の仕事で忙しいんだ。」(弟)
「そうだ、ヒロシ。お前遊びに来いよ。安くしてやるぜ。」(兄)
なんて話が続き、名刺を渡される。
日本で買っていったサングラス(800円 壊れかけ)を気に入ったらしく、うるさいのであげることにした。話せば何かとフレンド、ノープロブレムの連発である。
「今日は大阪で日本語の勉強をしてる妹が帰って来てるんだ。ちょっと呼んでやるから。」
と、目の前で電話をかけ始める。ものの数分で妹が登場。段取りが良すぎません?
何でも今日は母親の誕生日で家族が集合する日らしい。(ウソでしょ)
「そうだ、よかったらヒロシも家でパーティーに出てくれないか?
サングラスのお礼もしたいんだ。」(弟)
サングラスはしつこいからあげただけだって。早めに宿を見つけたいからと言ってバイバイする。
すると、後で知ってる安宿まで案内すると言ってきて、そうこうしているうちに男の一人がタクシーを止めている。それを横目に見ながら、めんどくさくなってきて「お金ないから、時間ないから。」 と言って逃れようとするが、好奇心が少しだけ勝ってしまった。
タクシーを止めた男(兄)はどっかへ行ってしまい、弟、妹、僕の3人で乗る。
見事なチームワークで、僕もそれに見事に乗ってしまった。
よく見れば車にはtaxiの表示もメーターも無く、タクシーではなかったのだと思う。
車は高速道路に入り、20分ほど走る。
車の中でガールフレンドはいるのか? と言われ、そりゃ何人かいるよと答えると、
「おいおいお前どういうことだ。」 と弟が興奮して突っ込んでくる。
僕はこの頃、ガールフレンド=女友達、だと思っていたのだ。
車は住宅街に入り、でっかい家の前で止まる。中に入ると数人の家族(?)が出迎える。
「何か食べるか? 飲むか?」
「いや、もうご飯食べたから大丈夫だよ。」
「喉乾いたろ。水でいいか?」
暑かったのと、緊張していたのとで一気に飲み干す。
あ、これって何か入ってたりしない? 眠くなったりしない?
このあたりから全てを疑ってかかるようになる。
「日本円を見せてくれないか。」
「クレジットカードは持っているのか。」
日本円はちょうど財布に入れてなかったのと、カードはパスポートと一緒にしてポーチみたいなので体に巻いていたから見せずに済んだ。
「これしかないって。」
と財布を見せると今度は学生証だったり、財布の中身を色々と物色してくる。
今度は男が財布を見せてくる。中には100ドル札がびっしり。
部屋には高そうな家具に、sonyのコンポ、テレビが並んでいる。
日本のこと、マレーシアのこと、話のネタも尽きてきたころに、気がつくと目の前でトランプを配りだしている。僕の周りでポーカーが始まる。7,8人でチップをやり取りして盛り上がってくる。
数分経って、お前もやってみるか? と勝手にゲームの説明をしてきた。
・・今自分が置かれている状況って、よくガイドブックの被害状況に書かれてるやつなのか?
これかぁ、と思いつつ、これはもうヤバいと思って、ここから英語が全く分からないアホな人になろうとする。暑さで体調を崩したなんて言って、一気に無口になる。
さて、どう逃れようかと思ったが、どこにいるのかも分からないし、街までは帰してもらわないと困る。すると向こうもそれを察したのか、気の毒に思ったのか弟が切り出す。
「もう戻るかい。」
僕は軽くうなずき、忘れ物がないか注意深く確認し家を出る。
帰りの車の中では、下手したら山の中か、全く知らない場所に降ろされるのかなーなんて思ってた。ほとんどしゃべらず、外の景色を見ていた。
全く同じ場所に降ろされた。
2時間前にはここで道に迷っていたのかと思うと不思議な感覚になる。
被害はなかったし、貴重な体験をしたのかなと思って気分を取り直して宿を探す。
危なかったーと思ったが、あまり実感は湧かなかった。あの時ゲームにのっていたらどうなったのだろう。さすがにそこに踏み込むことはできなかった。てか危ないよね。
その日の夜、宿でこの話をするとよく無事で戻って来れたねと言われた。
あんな露骨な手口に引っかかるんだねと変な感心もされた。
数日前、同じような手口に引っ掛かりスッテンテンになって帰国した日本人がいたそうだ。
その後も、街をふらついていると同じような話で近づいてくる男&女がいて、またかよ〜と思いつつ話すと日本語を勉強している妹だったり、日本の会社で働いてる弟だったりで、内容はほとんど一緒で笑ってしまう。
突っ込んだ質問をして、いきなり話題を変えてきたり苦しそうな顔をするのを見て楽しんでいた。
帰国後、ガイドブックやネットで見たら全く同じ手口で被害に遭った人の情報が載っていた。
特にこの時期、右も左も分からない日本人の学生がたくさん押し寄せて、彼らにとっては獲物に困らないのだろう。
僕は日本人のなかでも頼り無さそうに見える顔なのか、よくこういうのに捕まる。
いつもこんな感じで、いい目にも合えば、危ない目にもよく合っている。
これからKLに一人で行く予定の人は気をつけてくださいね。



